十四代酒井田柿右衛門の「錦菊鳥文瓶」は、柿右衛門様式の伝統を受け継ぎながらも、現代の洗練された美意識が表現された逸品です。その最大の魅力は、柿右衛門様式を代表する「濁手（にごしで）」の白磁の美しさにあります。温かみのある乳白色の磁肌は、通常の白磁とは異なる独特の風合いを持ち、鮮やかな色絵を一層際立たせています。 瓶のフォルムは、細く伸びる首とふっくらとした胴部が美しいバランスを保ち、優雅な佇まいを感じさせます。この形状自体が非常に洗練されており、シンプルでありながらも存在感のあるデザインとなっています。その上に描かれた「錦菊鳥文」は、古典的なモチーフを用いながらも、十四代ならではの柔らかく自然な筆致で表現され、格調高い仕上がりとなっています。 描かれている菊の花は、豊かさや長寿を象徴する吉祥文様として古くから親しまれており、鳥との組み合わせによって、より生命感あふれる景色が描き出されています。色彩は、赤や青、黄色といった柿右衛門様式の伝統色を用いながらも、繊細な筆使いによるグラデーションが施され、躍動感のある表現がなされています。特に、余白を活かした構図が作品の品格を高め、洗練された印象を与えています。 さらに、この作品が共箱付きである点も、その価値をさらに高める要素です。共箱には作者の署名や印が記されており、作品の真正性を証明するとともに、収集価値を持たせる重要な要素となっています。十四代酒井田柿右衛門は、柿右衛門様式の伝統を継承しながらも、新たな美の探求を続けた名匠であり、その作風は非常に高い評価を受けています。 この「錦菊鳥文瓶」は、単なる工芸品にとどまらず、日本美の粋を極めた芸術品とも言える作品です。その優美な造形と、繊細でありながらも力強い色絵の調和が、鑑賞する者に深い感動を与えます。格式のある空間を彩る美術品としても、また収集品としても、大変価値のある一品だと言えるでしょう。 ★寸法★ 高さ27㎝ 胴径14㎝ 陶磁器の町、佐賀県伊万里市在住で古物商（第911100009525）を営んでおります「陶磁器ヨーソロー」と申します。 古伊万里、現代作家もの、個人で製作活動しているレアな窯元、有田焼伊万里焼の陶磁器を中心に出品しております。 未使用品に関しては陶磁器商社、骨董に関しては古物競りやコレクター依頼品でございますので、ご安心くださいませ。